ビール概論

簡潔に最低限のみ。



ビールの主原料

尚、1516年ドイツ南部・バイエルンで発せられた「ビール純粋令(Reinheitsgebot)」では「ビールは水、大麦、ホップのみで作る」(注・酵母は当時発見前)と定められ、今でも多くのメーカーがこれに従って作っている。いまだによくラベルにも書いてある。

大麦麦芽と酵母

麦はふつう大麦(barley)が使われる。小麦(wheat(英)、Weizen(独))やライ麦(rye(英)、Roggen(独))は主にパンに使われるが、これらを使ったビールもある。特に小麦を使ったものはドイツ南部・バイエルンで醸造され、ヴァイツェンビアもしくは白ビール(ヴァイスビア)と呼ばれる。
麦でなく麦芽を使うのは、麦では発酵に使われる糖がデンプンの状態で存在し、これでは酵母(yeast(英)、Hefe(独))が分解できない。麦を水に浸けて発芽させ、麦芽にすることにより発生したアミラーゼ等の酵素がデンプンをグルコース(ブドウ糖)に分解する。このグルコースを酵母がアルコール発酵にてエタノールと二酸化炭素に分解し、ビールができる。
原麦汁濃度によって、Starkbier(16%〜)、Vollbier(11-14%)、Schankbier(7-11%)、Einfachbier(〜7%)と分類され、ドイツでは95%がVollbierとなる。

ホップ

毬花(きゅうか)とも呼ばれ、香り・風味・苦みを付け、雑菌による腐敗を防止するために使われる。

副原料

米、コーン、スターチ(デンプン)などが発酵原料として使われる事が多い。適度に使えば悪影響がないとされる。日本では、副原料を3分の1以上使うとビールではなく発泡酒に分類され、麦芽の使用率を50%以下にすると税金が安くなる。現在広く普及している発泡酒は麦芽使用率が25%以下であるが、これは税金を安くして小売値を下げ、売り上げを上げるためであり、味のためではない。註・発泡酒の定義は、副原料が重量で麦芽の50%を超えたもの、と書いてあるのもあり、正直細かいところは知りません。
大麦麦芽はビールの主原料だが、大麦そのものは副原料となる。小麦を使ったものがヴァイツェン。
ベルギーのビールでは風味付けのために果実などの副原料を使ったものが多く、バラエティに富む。
ビールの酒税は、多くの国が1リットルあたり12〜18円、アメリカは24〜28円で、中小のメーカーでは約半値となる。日本は桁違いに高く、1リットルあたり一律222円である。
ちなみにドイツでは、中瓶1本(500cc)50〜80円で買え、16歳から飲める(ワインなどは18歳から)。ビールは店でもウイスキーやワインのように酒コーナーではなく、清涼飲料水のところに置いてある。さすがビールの国。




国別・一人あたりの消費量(1999)
チェコ>アイルランド>ドイツ>オーストリア>ルクセンブルク>デンマーク>イギリス>ベルギー。日本は25位。
総生産量ではアメリカ、中国が多く、日本は5位。




ビールのスタイル

酵母および発酵温度によりラガーとエールの2つ(+ランビック)に大別される。単にビールといっても、スタイルが違うと全く別の飲み物になるので意識して飲んだ方が楽しめる。
さらに細かい分類があるが、わりと定義は曖昧な気がする。

ラガー:ラガー酵母が低温で発酵し、発酵後はビール下面に沈むため下面発酵と呼ばれる。色は透明黄金色、味はすっきりしたものが多く、日本や世界の大メーカー製ビールのほとんどはラガーである。中でもピルスナー(ピルス)というスタイルがメジャーで、淡い黄金色とホップの苦みの効いた味が特徴。

エール:エール酵母が常温で発酵し、発酵後はビール上面に浮くため上面発酵と呼ばれる。色は濃く濁ったものも多く、味は複雑で濃厚、香りも芳醇である。好きで飲む人はこちらを好む事が多い。イギリス、アイルランド、ベルギーではこちらが多い。ドイツの小麦ビール、バイツェンもエール。

ランビック:上記は専用酵母を入れるものだが、これは自然発酵ビール。つまり酵母は入れず、空気中に自然にある野生酵母が自然に入ってできる。滅菌なんてしてないから、普通に考えると腐りそうだが、不思議とそこで作ると腐らず、酸味の強い独特のビールができる。ほとんどがベルギー。




参考図書




back